ロジクールマウス「G300s」 チャタリング問題によるスイッチ交換(G300からG300sへ移植)
ここ数年、デスクトップPCのマウスはロジクールの「G300」シリーズを使用しています。とても使いやすいマウスで現在は3台目なのですが、いずれも最も使われる左ボタンの劣化が早い印象で、2,3年でチャタリングが発生してしまいます。その度に買い替えていましたが、現在では生産停止となり後継機種も無い為、今回は中身のスイッチを自分で交換してみる事にしました。
注記
この記事に記載する内容は実際に行った結果で書いていますが、記事内容を参考にしてのマウスの分解等は自己責任と自己判断の下で行って下さい。またマイクロスイッチの仕様等はこの記事を作成した時点のものなので、これ以降で変更となる場合もあります。記事中で紹介している商品の購入についても、仕様等を改めて確認して下さい。
G300s
このマウスの型式は「G300」から「G300r」、「G300s」、「G300Sr」と変更されていて、最初のG300が2011年、以降2013年、2015年、2018年と型式が変更されて発売されています。型式変更に伴い、形状や機能に大きな変更はないものの、部品の色やロゴが変わっていたりします。
上記の左が「G300」、右が「G300s」です。G300はだいぶ使い込んだ様子があります。G300シリーズは左右ボタンとホイールボタンを加えて合計9ボタンあり、付属アプリで任意にキー機能の割り当てのほか、3種のモード(プロファイル)切り替えが可能なので、9ボタン×3種類の設定が可能です。ウェブブラウザでは戻る・進む、動画編集ではコピー・ペースト等、目的に合わせて色々な設定が出来ます。
過去に購入したマウスは「G300」2台、「G300s」1台(現在使用中)ですが、現在(2024年3月)では生産も終了となっている為か、元々3,4千円程度だった購入価格が新品で7千円、8千円…。中には1万円を付けている場合もあります。今どきの多機能マウスでは平均的かもしれませんが、それ以上に後継機種や似た様な製品が無い事がとても残念です。
マウス内で使われているスイッチ
最初に購入した1台目の「G300」は破棄してしまいました。2台目で再びチャタリングが発生し始めた時に、次回もまたチャタリングが発生する事を考えて残しておきました。現在使用している3台目は「G300s」ですが、中身は変わっていないと想像し、2台目「G300」でまだ正常だった「右ボタン」のスイッチを、3台目「G300s」の「左ボタン」として利用しようと思います。
まず「G300」を分解します。底面のすべりテープを剥がすと、ネジが4つあるので外します。
底面のネジを外すと上蓋が外れます。スイッチ類は上記の通り。左右ボタンと、そのそれぞれの側に付いている4つのボタンは全て同じに見えます。ホイールの回転はセンサーによるものです。またこの時点で左右ボタンのスイッチを指で押してみると、左ボタンは反発力が若干弱くなっていました。
左右ボタンはオムロンのマイクロスイッチ「D2FC-F-7N(10M)(オムロンサイト)」になっています。
現在(2024年3月)、オムロンサイトではD2FC-F-7Nには3タイプあり、無印・(20M)・(60M)です。(10M)がありませんが廃番でしょうか?3タイプ中、無印はスイッチ耐久性が500万回で動作力が1.0N、(20M)と(60M)はそれぞれ2000万回・6000万回で共に0.59N。それ以外で大きな違いは無い様子です。(10M)も仕様に当てはめれば、スイッチ耐久性が1000万回という事になりますが、動作力は不明です。
マイクロスイッチはネットで購入可能ですが、この際、耐久性を考えて(20M)や(60M)でも良いかもしれません。ただし(10M)の動作力が1.0Nだった場合は(20M)と(60M)は0.59Nなので、半分程度まで反発力が減ってしまいます。
左右ボタン以外のスイッチ(4個)はオムロンではなく、型式等もありません。形状的には同じに見えますが、左右ボタンだけは耐久性を考えた結果でしょうか?(その割には…ですが)。もしかして、G300シリーズの生産終了は、(10M)が無くなった為??
「G300」からマイクロスイッチを取り外す
基盤は底板に3か所のネジで固定されているので、このネジを外すと基盤が外れます。
残しておいた「G300」の、チャタリングが発生していなかった「右ボタン」のマイクロスイッチを外します(上記は既に外れていて「左ボタン」側での例え)。基板の裏側から半田付けされているので、半田ごてで半田を溶かして取り除きます。半田吸い取り器があれば良いのですが無いので、半田を溶かしつつ、デザインナイフを使って溶かしながらすき間を広げていきました(基盤を傷つけない様に)。
外れました。
他の4ボタンと比べると微妙に形状が違う様な、違わない様な…。
端子のピッチは同じに見えます(正確には計っていません)。
オムロン「D2FCデータシートpdf」より
オムロンの「D2FC」は1aなのでNC端子側はダミーですが、NO端子は他の4ボタンとも同様。形状も同じであれば、4ボタン側も左右ボタンのスイッチとして代用が可能そうですが、4ボタン側の電気的な仕様が不明です。
「G300s」にマイクロスイッチを取り付ける
現在まで使用していた「G300s」も同様に上蓋を外しますが、すべりテープが何故か2枚重ねでした。
パーツの色は違いますが、形状などには変わりは無い様子です。
「G300s」ではチャタリングが発生している「左ボタン」のマイクロスイッチを外します。
上が「G300」で問題の無いマイクロスイッチ。下が「G300s」のマイクロスイッチです。どちらも同じオムロンの型式です。20~や28~はロット番号?
「G300s」に「G300」から外したマイクロスイッチを半田付けします。その際、スイッチが基盤に密着する(浮き上がらない)様に気を付けます。スイッチの方向も間違えない様に。スイッチを取り付けたら元に戻しますが、マウスのケーブルが底板の溝に収まる様になっています。
移植が完了しました。底面に剥がしたすべりテープを再び貼り付けますが、粘着力がまだ残っていて、そのまま貼り付ける事が出来ました。また本当はスイッチを半田付けした時点で、一度PCへ接続して動作確認をした方が良いと思います。
移植完了後
スイッチを入れ替えた事で、無事に「G300s」の左ボタンのチャタリングは無くなりました。ただしこれまで使っていた「G300」の右ボタンなので、2年…1年持つとは思えません。マイクロスイッチの型式が分かったので、いずれスイッチを購入しておこうと思います。「G300」側も新品スイッチに取り換えれば復活出来そうなので、予備としてまだ残しておきます。
その他
左ボタンでチャタリングが発生し始めた頃から、回避の為に「ChatteringCanceler(窓の杜)」というアプリを使っていました。チャタリングが起き始めた頃はこれで回避出来ましたが、最近はドラッグアンドドロップにも支障が出始め、ドラッグして移動中のファイルを途中で離してしまう始末。これがエクスプローラー上で起こると、ファイルがどこか不明な場所に移動してしまいます。その他、動画編集中も範囲選択などが手こずる様になり、いい加減に我慢しきれなくなったので新品購入を考えた所、現在では価格もだいぶ上がっている上に、代替となるマウスも無さそう。そこで今回の移植となりました。ただ正直、面倒なので後継機種や代替として使えるマウスが出て来てくれる事が一番良いのですが…。