WRX ハンディレコーダー ZOOM H2n 車内での録音比較(+外部マイク)
先日購入したZOOMのH2nを車内に持ち込み、車載動画で使用しているソニーのアクションカム「FDR-X3000」と合わせて使用してみました。今回の記事ではFDR-X3000の内蔵マイクを基本として、H2nの各録音モードで録音した音声との比較をしてみます。またいつもはFDR-X3000に外部マイクとしてaudiotechnicaの「AT9920」を接続して使用しているので、H2nにもAT9920を接続して違いを比較してみます。
注記
この記事の内容はあくまで私個人の感想です。また掲載している動画では1つの動画ファイルとしてエンコードしているので、元の録画・録音ファイルからは音声の様子も変わっている可能性があります。特に室内・屋外で利用する場合はこの記事(車載動画)での内容とは全く異なると思います。従って実際の製品での録音と相違があってもその責任等を負う事は出来ません。
FDR-X3000の内蔵マイクと外部マイク入力
FDR-X3000の内蔵マイクはかなり優秀だと思っています。これまで様々な外部マイクも試してきましたが、むしろ内蔵マイクのままの方が綺麗に録音出来る場合が多かった印象です。もちろん録音する対象(環境音や人の声など)にもよりますが、車内の様子を録音するのであれば外部マイクは不要だと思います。
FDR-X3000にはマイク入力としての外部入力端子(3.5mmステレオミニジャック)が用意されています。プラグインパワー対応ですがON/OFFの設定は特にありません。
FDR-X3000単品での各種外部マイクの比較については、以下の記事を見て下さい。
H2nの内臓マイクと外部マイク入力
H2nの内蔵マイクについては前回の記事で書いていますが、H2nには通常のXYマイクと、サイド(左右)とミッド(中央)を備えたMSマイクが搭載されています。
外部マイク入力としてはLINE IN端子(3.5mmステレオミニジャック)があり、プラグインパワーは設定でON/OFFが出来ます。LINE INに接続した外部マイクはH2nのXYマイクとして機能し、接続時は液晶画面に外部マイクを示す表示が出ます。
比較動画
動画の視聴はヘッドホンの使用をお勧めします。
その1 FDR-X3000とH2nの内蔵マイク
上記は車内でFDR-X3000の内蔵マイクを基本とし、H2nの各録音モードでも録音してみた動画です。動画時間の内訳としては、
- 0:00~0:48 FDR-X3000 内蔵マイク
- 0:48~1:22 H2n XYステレオ
- 1:22~2:08 H2n MSステレオ(MS-RAWのまま)
- 2:08~2:37 H2n MSステレオ(MS-RAWから編集でサイド音量-∞)
- 2:37~3:06 H2n MSステレオ(MS-RAWから編集でサイド音量+6)
- 3:06~4:01 H2n 4chサラウンド(録音時MSマイクのサイド音量設定-∞)
- 4:01~4:36 H2n 4chサラウンド(録音時MSマイクのサイド音量設定+6)
となっています。MSステレオはMS-RAWで録音し、編集でサイド音量を調整しています。4chサラウンドではXYマイクとMSマイクを別々のファイルとして保存出来ますが、この時のMSマイク側はMS-RAWでは録音出来ないので(2chも同様)、録音時にH2n本体でサイド音量を設定しています。
またXYマイクとMSマイクはH2n本体の両面で組み込まれている(液晶画面側にXY)との事なので、H2n本体の向きも都度変更して録音しています。
考察
XYステレオ録音
H2nのXYステレオ録音は、むしろFDR-X3000内蔵マイクの良さを再認識する結果になりました。もちろんH2nが悪い訳ではなく、内蔵マイクの性能が悪いアクションカム等を使用していたり、音声を別撮りしたい場合は必要以上の性能があると思います。入力音量(ゲイン)調整以外に難しい設定はありません。
MSステレオ録音
MSステレオ録音はXYステレオ録音に比べると、多少明瞭さに欠ける印象があります。MS-RAWで録音すれば後から好きな様にサイド音量を調整出来ますが、MS-RAWのままの場合は左右ではなくMidとSideという成分になっています。車載動画ではMSステレオよりもXYステレオの方が単純で、MSステレオにしても車内の閉鎖空間ではあまり効果は無いとも思います。コンサートホールなどでは効果も大きいのでしょうか。
2ch・4chサラウンド録音
2ch、4chサラウンドではXYマイクとMSマイクの両方を使用しますが、MSマイク側はMS-RAWでは録音出来ないので本体でのサイド音量の事前設定が必須です。ただし通常のヘッドホンを使用してもXYとMSが混ざり合ってしまい、ステレオ感というよりも騒がしさが目立ちます。4chで録音すればXYとMSで別々のファイルとなり、それぞれで左右のバランスと音量が調整出来ますが、2chではXYとMSがミックスされた1つのファイルになります。従って最初から適切な設定で録音する事は相当難しいとも感じます。環境に合った適切な設定を行った上で4chで録音し、4ch以上のスピーカーやヘッドホンを使用して各チャンネルを再生出来れば、きっと素晴らしい音になるのでしょう。
その2 外部マイクAT9920とCS-10EM
上記はFDR-X3000とH2nに、それぞれ車内でaudiotechnicaのAT9920とRolandのCS-10EMを接続してみた動画です。AT9920は「バウンダリー型」のステレオマイク、CS-10EMはヘッドホンにマイクが内蔵された「バイノーラルマイク」です。
- 0:00~0:38 FDR-X3000 内臓マイク
- 0:38~1:23 FDR-X3000+AT9920
- 1:23~2:06 H2n+AT9920
- 2:06~2:56 FDR-X3000+CS-10EM
- 2:56~3:31 H2n+CS-10EM
- 3:31~4:20 おまけ
H2nでは先の通り、LINE INに接続した外部マイクはXYマイクとして機能するので、H2nの録音モードは「XYステレオ」にしています。
考察
FDR-X3000+AT9920
これまで車内でFDR-X3000に外部マイクを接続した場合に、ピリピリとノイズが発生してしまう現象に悩まされています。ケーブルにフェライトコアを付けたりアルミ箔に包んでみたりもしましたが、効果が出ません。しかし外部マイクの本体を車外に出すとほとんどノイズが無くなるので、現在AT9920をマフラー付近に設置している理由の1つにもなっています。この時は音声ケーブルも3m延長しているにも関わらず・・・です。
AT9920自体は高音から低音まで良く音を拾うと思います。FDR-X3000の内蔵マイクよりもハッキリとしているでしょうか。ちょっとキンキンとした印象でもありますが。
H2n+AT9920
AT9920をH2nに接続すると、驚く事にノイズがほとんど無くなりました。FDR-X3000側の影響が大きいという事になりますが原因が分かりません(もちろん内蔵マイクではノイズは無い)。H2nとの違いを言うとFDR-X3000はUSB給電を行いながら、H2nは単3の充電電池による駆動です。USB給電は車両ソケットにUSB電源アダプターだったり、モバイルバッテリーの場合もありますがどちらもノイズは変わりません。USB給電が原因かもしれないとも思いましたが、モバイルバッテリーでUSB給電を行いつつ、車外で外部マイクを使用するとノイズも無くなります。
H2nにAT9920の場合も、ノイズ以外ではFDR-X3000とあまり変わらない印象ですが、あまりキンキンとした状態にはならない様子です。
FDR-X3000+CS-10EM
バイノーラルマイクのCS-10EMもFDR-X3000に接続するとノイズが発生してしまいます。そして同じ様に車外へ出るとノイズは無くなります。バイノーラルマイクは車内で使用しても閉鎖空間なので、あまりバイノーラル効果は得られない印象です。自分でカメラを持った上で街中や自然の中で使用すると、とても臨場感のある音声が録音出来ます。H2nの2ch・4chサラウンドよりも手軽だと思います。ただしちょっと大きめの音声になり、かなり遠くの音もすぐ近くにある様に聞こえます。
H2n+CS-10EM
CS-10EMもH2nに接続するとノイズが聞こえなくなりました。FDR-X3000に接続した時よりも音が小さい気もしましたが、これはゲイン調整次第です。車内で外部マイクを使用してもノイズが発生しないので、改めてAT9920やCS-10EMの車内利用を考える事が出来ます。
実際に車載動画としてこれまで何度かPOV方式の動画撮影も行い、加えてCS-10EMを利用してバイノーラルでの録音も考えていました。結果的にはノイズやカメラの頭へのセット(カメラの重さ)の問題があって、長続きしません。H2nでノイズが無くなったので、また再チャレンジするかもしれません。
おまけ
動画の最後はH2nに接続したAT9920を車外のマフラー付近に設置し、その上で車内の音声をMSマイクを使って4chサラウンドで録音しています。バイクであればH2n本体をマフラー付近に設置してMSマイクで排気音、外部マイク(XYマイク)を使って会話の録音といった方法も取れるでしょうか。
今回のまとめ
当然ですがH2nは高機能な分、諸々の調整が必要で最適な状態にするまでには時間が掛かりそうです。自分もまだほとんど分かっていない状態で、今回のテストも特にMSステレオのサイド音量は単純に両極端な状態にしただけです。録音モードが異なればゲイン調整も異なります。事前にモニター出来ない環境で1発勝負な場合は上手く録音出来る自信がありません。この辺りは経験を積むしか無さそうで、かつその後の動画編集等での調整が必須になります。
また先にも書きましたが、閉鎖空間である車内ではあまり臨場感のある音声は録音出来ないと思います。バイノーラルマイクを使用しても車内と車外では雲泥の差で、車内の音声を綺麗に録音したい時、カメラに外部音声入力がある場合はまず外部マイクを試してみる方が良さそうです。ただしFDR-X3000は内蔵マイクの性能が良いので、外部マイクを接続しても期待外れだったりします。ノイズの問題が別にあるのでこの場合は別途ハンディレコーダーの使用もアリかと思いますが、音声は映像以上に難しい要素かもしれません。
次回は「おまけ」で行った車外でのマフラー音や環境音を比較してみたいと思っています。ただし最近のコロナウィルスの影響から外出を控えています。従っていつになるか分かりません。
追記1
その後、車外後方からの排気音や走行中の排気音を録音してみました。
追記2
車両は関係無く、自然環境(ひぐらしの鳴き声)での録音比較も行いました。