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WRX micro:bitを車両で使う その38 mp3音声ファイルの再生(DFPlayer Mini)

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今回はmicro:bitで「DFPlayer Mini」というモジュールを使って、mp3形式の音声ファイルの再生を行ってみます。micro:bit(V2)には本体にスピーカーやマイクを搭載していて、一応録音/再生も可能ですが、搭載メモリー量の関係からか約3秒間ほどしか録音は出来ないとの事。「DFPlayer Mini」モジュールはmicroSDメモリースロットを搭載しているので、SDメモリーからファイルを読み出して再生する事が出来ます。※録音機能はありません。

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DFPlayer Miniモジュール

DFPlayer Miniモジュールはシリアル通信で制御出来るMP3プレーヤーで、micro:bitでも利用可能です。Microsoft MakeCodeに拡張機能としてブロックもあります。

モジュールの価格は1個1000円以下、販売元によっては500円以下の物もありますが、現在市場で出回っている物はモジュールの基板上に「DFPlayer Mini」と印刷された物(DFRobot社)と、「MP3-TF-16P」等と印刷された物があります。後者はいわゆる互換品となっていますが、購入時に「DFPlayer Mini」となっている場合でも、実際には「MP3-TF-16P」等が届く場合もある様です。モジュールの形状や仕様は一緒なので「MP3-TF-16P」等の場合でも利用方法に違いは無いと思われますが、確実に「DFPlayer Mini」を使用したい場合は、製造メーカーをハッキリと記載している販売元からの購入が良いと思います。私の場合はAmazonで購入(スピーカー2個とのセット品)しましたが、「MP3-TF-16P」の互換品でした。

またDFPlayer Miniモジュールで音声ファイルを再生するにあたって、別途スピーカーの接続が必要です。micro:bit(V2)本体に搭載しているスピーカーは利用出来ません。モジュールとスピーカーのセット品も販売されていますが、この場合は互換品モジュールの場合が多い様子です。さらにスピーカーはモジュールに接続しますが、スピーカー側への配線には半田付け作業が必要になる場合があります。なおモジュールでの仕様は3W以下、セット品に付いていたスピーカーは「8Ω-2W」でした。

DFPlayer Miniモジュールはmicro:bit等のマイコンボードを使用しなくても、スイッチや抵抗のみでも音声ファイルの再生が可能になっています。またMP3プレーヤーとなっていますが、仕様ではWAVやWMAにも対応となっています。その他に機能としてEQ(イコライザー)機能も搭載していて、大きさから見ると非常に多機能です。

micro:bitとの接続

micro:bitとの接続は単に音声ファイルを再生するだけであれば、電源の他にシリアル通信用の2本(RX・TX)だけで可能です(上記では他の物も接続していますが、必要ありません)。DFPlayer Miniの仕様として電源は「3.2V~5V」となっていて、micro:bit本体のみでも可能に思えますが、モジュール側での必要下限値に近いので、今回は別途ブレイクアウトボードで5Vを出力出来る物を使用しています。ブレイクアウトボードを使用せずに乾電池3本で4.5Vを供給しても良いかもしれません。

スピーカーはDFPlayer Miniのモジュールに直接繋ぎますが、DFPlayer Miniではスピーカーを2個使って、ステレオでの出力も可能になっています。ただしステレオ接続した場合はオンボードのパワーアンプを通さず、DAC出力になっています。ここではスピーカー1個のモノラルで接続しています。

プログラム

Microsoft MakeCodeでDFPlayer Mini用の拡張機能を追加します。検索欄に「DFPlayer」と入力して検索すると上記の拡張機能が表示されるので、クリックしてDFPlayer Mini用のブロックを追加します(拡張機能にあるDFPlayer Miniの写真は「MP3-TF-16P」ですが…)。追加すると下記のブロックが使用可能になります。

テスト用として下記の様にプログラムを作成しました。SDメモリーにはフォルダーを2つ、そのフォルダー内に各10個の音声ファイルを保存しています。Aボタンを押す度にフォルダー内の各音声ファイルを順送りで再生、Bボタンは逆送りで再生します。ABボタンを同時に押すと次のフォルダーへの切り替えと最初の音声ファイルを指定します。

「最初だけ」のブロック内で、DFPlayer Miniモジュールに接続したシリアル通信用の端子番号を指定します。上記ではボリューム(音量)設定も「最初だけ」のブロック内で設定していますが、ボタン操作で任意に変更する事も可能です。

あとは「play」あるいは「loop play」ブロックでSDメモリーに保存した音声ファイルを指定するだけですが、SDメモリーに音声ファイルを保存する際にはルールがあります。

補足(micro:bit本体の録音/再生機能)

micro:bit本体での録音/再生機能は、本体にマイクやスピーカーを搭載したV2以降で可能です。プログラムについては拡張機能の検索欄に「audio」と入力して検索すると、下記「Audio-recording」という拡張機能が表示されます。

表示された「Audio-recording」の拡張機能をクリックすると、下記のブロックが追加されます。

SDメモリーに音声ファイルを保存する

利用出来るSDメモリーは最大容量32GB(FAT16/32フォーマット)となっています(※別途用意する必要があります)。今回は以下の様にフォルダーを作成した上で音声ファイルを保存していますが、フォルダー名とファイル名についてはルールがある様です。

フォルダー名とファイル名のルールについては、DFPlayer Miniの仕様内のサンプルコードで、「Mp3 play」の項目を参照すると…(長いのでアコーディオン形式にしています)。

//----Mp3 play----
  myDFPlayer.next();  //Play next mp3
  delay(1000);
  myDFPlayer.previous();  //Play previous mp3
  delay(1000);
  myDFPlayer.play(1);  //Play the first mp3
  delay(1000);
  myDFPlayer.loop(1);  //Loop the first mp3
  delay(1000);
  myDFPlayer.pause();  //pause the mp3
  delay(1000);
  myDFPlayer.start();  //start the mp3 from the pause
  delay(1000);
  myDFPlayer.playFolder(15, 4);  //play specific mp3 in SD:/15/004.mp3; Folder Name(1~99); File Name(1~255)
  delay(1000);
  myDFPlayer.enableLoopAll(); //loop all mp3 files.
  delay(1000);
  myDFPlayer.disableLoopAll(); //stop loop all mp3 files.
  delay(1000);
  myDFPlayer.playMp3Folder(4); //play specific mp3 in SD:/MP3/0004.mp3; File Name(0~65535)
  delay(1000);
  myDFPlayer.advertise(3); //advertise specific mp3 in SD:/ADVERT/0003.mp3; File Name(0~65535)
  delay(1000);
  myDFPlayer.stopAdvertise(); //stop advertise
  delay(1000);
  myDFPlayer.playLargeFolder(2, 999); //play specific mp3 in SD:/02/004.mp3; Folder Name(1~10); File Name(1~1000)
  delay(1000);
  myDFPlayer.loopFolder(5); //loop all mp3 files in folder SD:/05.
  delay(1000);
  myDFPlayer.randomAll(); //Random play all the mp3.
  delay(1000);
  myDFPlayer.enableLoop(); //enable loop.
  delay(1000);
  myDFPlayer.disableLoop(); //disable loop.
  delay(1000);
DFPlayer – A Mini MP3 Player Wikiより

この中からフォルダー名とファイル名のパターンは、以下であると読み取れます。

  • フォルダー名を「mp3」または「advert」とした場合はファイル名「0001.mp3(0~65535)」
  • フォルダー名を「01(1~99)」とした場合はファイル名「001.mp3(1~255)」
  • フォルダー名を「01(1~10)」とした場合はファイル名「001.mp3(1~1000)」

micro:bitの拡張機能ブロックでは、ファイル名のみを指定するブロックと、フォルダー名とファイル名を指定するブロックがあります。フォルダー名を「mp3」または「advert」とした場合はファイル名のみの指定ブロックを利用すると思われますが、ファイル名の指定範囲はどちらの場合も「1~255」まで(65535までは扱えない)になっています(下記)。

またSDメモリー内、あるいは指定フォルダー内の全ての音声ファイル全体をループ再生するブロックもありますが、この場合の音声ファイルの再生順はファイル名の番号ではなく、保存日時の順番になってしまう様です(未確認)。ファイル名の番号順で再生するには、プログラム側で対応する必要があります。ランダム再生にしたい場合は「乱数」のブロックが使えそうです。

音声を用意する

今回は音声ファイルとして、動画作成でも使用している「VOICEVOX」というテキスト読み上げソフトを使って作成しました。VOICEVOXは無料で利用出来ます。

VOICEVOXでは出力の際にファイル名パターンを指定出来るので、複数の音声ファイルを書き出す際にファイル名の先頭に番号(001~)を付ける事が可能です。後からファイル名を変更する手間が省けます。

またVOICEVOXの音声ファイルはWAV形式で出力され、DFPlayer Miniの仕様でもWAVを扱える事になっていますが、一応mp3に変換しました。WAVからmp3への変換には色々なアプリがありますが、私はFlicFlac(窓の杜)というアプリを利用しました。インストールは不要で、zipファイルの解凍後にexeファイルを実行するだけです。実行後、変換したい形式をボタンで選択し、ウィンドウ内にWAVの音声ファイルをまとめてドラッグアンドドロップすれば、同じ保存場所に変換して保存されます。変換後の音声ファイルを先のSDメモリーに保存します。

再生してみる

実際にmicro:bitからDFPlayer Miniを制御して音声ファイルを再生してみると、意外に聞き取りやすい音で再生されました。音量はブロックで「0~30」の範囲で設定出来ますが、最大30は結構大きな音量でした(モノラル接続の場合)。

注意点

DFPlayer Miniモジュールを利用する際に、気が付いた点などを挙げてみます。

  • フォルダー名やファイル名が違っていたり、フォルダーやファイルその物が存在しない場合は、当然ですがモジュールに再生命令を出しても音声は何も出力されません。
  • 音声の再生中に再び再生命令を出すと、それ以前に再生していた音声を停止して新たに再生します。1つ1つを確実に再生したい場合は、モジュールの「BUSY(play Status)」出力を利用して、「再生中」を監視する方法があります。
  • シリアル接続の設定は「9600bps・Data bits=1・Checkout=none・Flow Control=none」とありますが、micro:bitで拡張機能ブロックを使用する場合は、特に設定の必要はありません。
  • ノイズが大きい時は、TX配線に1kの抵抗を接続するとあります。
  • DFPlayer Miniの互換品(MP3-TF-16P等)の中には、一部仕様の異なる物がある様です。

その他

いずれ記事内容に合わせた動画も作成する予定ですが、現在は車両での利用を想定して他にも機能を持たせています(実験中)。

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注記

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