WRX micro:bitを車両で使う その1 micro:bitの購入
2020年から小学校でのプログラミング教育が必修化されます。文部科学省でもその為の教育教材としては「Scratch」の利用が紹介されていますが、Scratchは単なるプログラミングアプリケーションです。今回から扱うmicro:bitはイギリスBBCが開発した同じくプログラミング教育の為の教材ですが、micro:bit自体は小型のシングルボードコンピューターを指しています。プログラミングはScratchも利用出来ますが、Scratchと同じブロック形式の「Microsoft MakeCode」で行います。このmicro:bitの仕様を見てみると、なかなか面白そうなので実際に購入して試してみる事にしました。
micro:bit
micro:bitのシングルボードコンピューターは非常に小さいのですが、既にスイッチやLED、無線、Bluetooth、方位や加速度センサーが搭載されています。プログラミングは先の通りScratchやMicrosoft MakeCodeを利用したり、PythonやJavaScriptでも組む事が出来、プログラムをmicro:bitに転送すれば実際に動作させる事が出来ます。
ScratchのみではPCの画面内で終わってしまいますが、micro:bitは実際のコンピューター上で試す事が可能です。micro:bit単品では限度もありますがオプションパーツも豊富に揃っていて、センサーやモーターを繋いで、実際に動く物を作る事も出来ます(ロボットなどのセット品もあります)。子供達により一層の興味や理解を与えるには、この「実際に動く」という体験や感動も重要だと思います。教育現場では時間や予算もあるのでなかなか難しいかもしれませんが、イギリスでは11~12歳の子供達全員に無償配布されているそうです。
私個人は機械設計の分野に居るのでプログラミングだけでは無く、メカ(ハード)の方向にも興味を持って貰いたいのですが、micro:bitがあればその可能性も大きくなると感じています。
注記
micro:bitは見ての通り基盤むき出しの状態です。従って特に静電気やワニ口クリップを使用する場合には注意が必要です。またmicro:bitはUSB電源でも動作しますが、micro:bitの基盤上にバージョン文字が無い物は、充電器やモバイルバッテリーでの高速充電(高容量)対応のUSBポートには接続しない様に記載されています(その他注意事項も)。ただしバージョン文字がある物でも、標準のポートに接続する事が推奨されています。
またmicro:bitのバージョンv1.5では、それまで(~v1.3x)別々だった加速度センサーと方位センサー用のICが、1つのIC(モーションセンサー)になっていますが、プログラミングの方法自体に違いはありません。ハードウェアについてはこちらで確認出来ます。ページ初めのバージョンボタンで内容がそれぞれ変わります。
・・・特に子供の利用を考えると、ケーブルの抜き差しでUSB接続端子(MicroB)への負荷が心配です。乱暴に扱うと、最悪基盤から端子が外れる恐れがあります。
micro:bitの利用
micro:bitは教育用として開発された物ですが、既に色々な機能が搭載されているので、大人でも電子工作の材料として十分に楽しむことが出来ます。プログラミングが分からなくてもScratchやMicrosoft MakeCodeで、子供と同じ様に覚えれば良いだけです。私自身もプログラム言語は分かりません。機械設計としてはFA用のPLCを扱っていますが、こちらは「ラダー」と呼ばれるプログラミング形式(wiki)で、むしろScratchやMicrosoft MakeCodeのブロックに近い物です。従ってブロックから実際のプログラミング言語に進むよりも、ラダーの方が分かり易いと思っているのですが、ちょっと特殊過ぎでしょうか。
これまでの記事で、実際にPLCを使用して車のOBD2から情報を得る事なども行っていましたが、micro:bitであれば、簡単な機能であれば手軽に何か出来そうです。またMicrosoft MakeCodeではブロックからJavaScriptへの切り替え表示も出来るので、少しは言語の理解にも繋がればと思っています。
micro:bitの購入
micro:bitは国内でも販売されていて、実際に教材として利用されている場合もある様です。日本の代理店は現在、switch educationとSWITCHSCIENCEの2店となっています。またAmazonや楽天でもオプションパーツ等を含めて購入する事が可能で、セット品も販売されています。
SB C&S micro:bit アドバンスセット/MB-B001 ロボット
micro:bitの基本となるシングルボードコンピューターは1枚2,200円ほどで購入出来ます。プログラミングを行うMicrosoft MakeCodeはWebブラウザ上で無料で行え、簡単なシミュレーションも可能なのでmicro:bitが無い状態でもとりあえずプログラミングを試す事も出来ます(Windows10ではストアアプリにもあります)。ちなみにScratchからmicro:bitを使用する方法はこちら(Scratchサイト)やこちら(wiki)に記載されています。
!注記!(2020年12月追記)
2020年11月25日より、micro:bit本体の新しいバージョン「2.0」が発売になっています。古いバージョンのmicro:bitは販売終了となりますが、購入先やパッケージによっては古いバージョンのmicro:bitが残っている可能性もあります。この記事内のリンク先から購入する場合も、micro:bit本体のバージョンに注意して下さい。ただし古いバージョンのmicro:bitも引き続き使用する事は可能です。新しいバージョンのmicro:bitについては、micro:bit関連記事「その25」より扱っています。
2022年4月追記
2021年12月に、micro:bit本体のバージョンが「2.2」になるとのアナウンス(micro:bitサポート)がありました。これは世界的な半導体不足と新型コロナの影響により、インターフェイスプロセッサを変更するとの事です。ただしバージョン「2.0」との違いは無く、同様に使用出来るとなっています。
購入した物
今回購入した物はmicro:bit本体が2つ(上)、センサー等を接続する為のIOブレイクアウトボード(中)、出力リレーを搭載したリレーブレイクボード(下)、電源モジュールを含んだブレッドボード(下記)です(※購入はAmazonからです)。本体を2つ購入したのは無線機能を試す為と、1つのmicro:bitではボードが1つしか搭載出来ない為で、無線機能があれば必要な役割をそれぞれ分けて行う事も出来そうだと思っています。
※2つのブレイクアウトボードの詳細はいずれ別記事で扱う予定です。
電源モジュールは出力リレーのボードで必要(5V電源)なのですが、ブレッドボードとのセット品が安かったのでそのセットを買いました。ちなみにブレッドボードは「Arduino」用となっていますが、micro:bitでも利用出来ます。・・・ジャンパケーブルにメスタイプが含まれていないので、後でまた買わないと。
micro:bit本体については正規品の「バルク品」を購入しています。Amazonには正規品の「Telecバージョン」という箱入りもありますが、そちらは私の購入時は海外発送の業者しか在庫が無かったのでバルク品にしました。「Telec」とは日本国内の技術基準認証制度で、無線機器を使用する場合は電波法で定められた技術基準を満たしている必要があります。
今回購入したバルク品でも取説には日本語も含まれ(少し怪しい)、取説内に適技マークも記載されています。
センサー類はまだ購入していませんが、同じくRaspberry PiやArduino用として販売されている物でも、仕様さえ合えばmicro:bitでも利用出来ると思っています。いずれまた何か購入してみるつもりですが、オプションパーツは仕様や使用方法などが説明書やWebで解説されている物を購入した方が良さそうです。
その他
気軽にプログラミングを行える環境(製品)としては、ArduinoやRaspberry Piもありますが、こちらはmicro:bitと比較すると高性能でモデル(機種)も色々あります(ただしセンサー類は非搭載)。プログラミングではScratchも使用出来ますが、プログラミング教育として扱う場合は中学・高校レベル、さらに実際の開発現場での利用にもなるでしょうか(もちろん簡単な事も出来ますが)。そう言えば、私の持っている格安3DプリンターもArduinoで動いています。
・・・しかし、学校の先生も大変な時代になりましたね。家庭でも子供から質問される場合もありそうですし、大人も一緒にプログラミングを覚えるきっかけになりそうです。ただし子供の方が断然覚えは早いので、逆に大人が教えてもらう立場になりそうですが。
今後の予定
今の所は車両での利用方法としては1~2つ程度しか思い付いていませんが、これから少しずつ記事にする予定です。またこれまで行ってきたPLCとの併用も考えたいと思っています。
micro:bit 新バージョン「2.0」について
2020年11月25日より、Micro:bit本体の新バージョン「2.0」が発売になっています。従ってこれまでの古いmicro:bitを使用した記事(~その24)と新しいmicro:bitでは記事内容に相違がある場合があります。ただしこれまでのプログラムは基本的には新しいmicro:bitでも動作し、古いmicro:bitも引き続き使用する事が可能です(ハード的に新たに追加された機能は、拡張ボード等が必要ですが)。
なお新しいmicro:bitについては実際に1つ購入し、micro:bit関連記事「その25」から扱っています。
2022年4月追記
2021年12月にmicro:bit本体のバージョンが「2.2」になるとのアナウンスがありましたが、「2.0」との機能上の違いは無いとされています。
「micro:bit」関連記事
以下は「micro:bit」タグの記事一覧です(投稿順)。現在の記事とこれ以降に投稿した記事も含みます。「その24」までの記事ではmicro:bit本体のバージョン「1.5」を使用しています。
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- WRX micro:bitを車両で使う その1 micro:bitの購入
- WRX micro:bitを車両で使う その2 Microsot MakeCodeとスマホ用アプリ
- WRX micro:bitを車両で使う その3 micro:bitの仕様と購入したブレイクアウトボード
- WRX micro:bitを車両で使う その4 本体ファームウェアの更新とWebUSB
- WRX micro:bitを車両で使う その5 無線機能の利用
- WRX micro:bitを車両で使う その6 方位センサーの利用
- WRX micro:bitを車両で使う その7 加速度センサーの利用
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- WRX micro:bitを車両で使う その9 サーボモーターの利用(準備編)
- WRX micro:bitを車両で使う その10 サーボモーターの利用(動作編)
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- WRX micro:bitを車両で使う その12 可動式雲台を作る(1軸編)
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- WRX micro:bitを車両で使う その22 7セグメントLEDの利用(TM1637ドライバ)
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- WRX micro:bitを車両で使う その24 ステッピングモーターを制御する(ULN2003ドライバ)
- WRX micro:bitを車両で使う その25 micro:bit バージョン2.0を購入(2021年12月 v2.2アナウンスあり)
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- WRX micro:bitを車両で使う その27 バージョン2.0の初期状態と追加された機能
- WRX micro:bitを車両で使う その28 新バージョン(v2.0)のI2C通信
- WRX micro:bitを車両で使う その29 環境モニターを作る(気温・気圧・湿度編)
- WRX micro:bitを車両で使う その30 環境モニターを作る(二酸化炭素・有機化合物編)
- WRX micro:bitを車両で使う その31 環境モニターを作る(LCD表示・動作確認編)
- WRX micro:bitを車両で使う その32 環境モニターを作る(RTCモジュール追加編)
- WRX micro:bitを車両で使う その33 環境モニターを作る(ロギングモジュール追加編)
- WRX micro:bitを車両で使う その34 環境モニターを作る(ログデータ記録編)
- WRX micro:bitを車両で使う その35 車内のCO2濃度と換気について
- WRX micro:bitを車両で使う その36 新バージョン(v2.0)でのI2C通信の問題解決
- WRX micro:bitを車両で使う その37 Microsoft MakeCodeの新バージョン(v4)と新機能データロガー
- WRX micro:bitを車両で使う その38 mp3音声ファイルの再生(DFPlayer Mini)
- WRX micro:bitを車両で使う その39 車速パルス信号から速度を計算する
- WRX micro:bitを車両で使う その40 フルカラーLED(WS2812B)でメーターを作る
- WRX micro:bitを車両で使う その41 フルカラーLEDマトリックス(WS2812B)で時計を作る
- WRX micro:bitを車両で使う その42 フルカラーLEDマトリックス(WS2812B)でピクセルアートアニメーションを作る
「micro:bit+プラレール」も始めました。
その他
FA用PLCとELM327を使用した「OBD2」関連の記事は以下の記事から始まります。
注記
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- このブログ内で書いている内容はあくまで私の利用する製品(アプリ含む)や機器での場合です。他メーカーの製品や機器をはじめ、同じメーカーの製品・機器であってもバージョン違い等の場合もあるので、記事内容の保証や責任を負う事は出来ません。
- 記事内で紹介している製品や、その他の類似製品を購入・利用する場合はそのメーカーや購入先で仕様等を確認し、自己判断と自己責任の下で利用して下さい。
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